月夜の君
16年前、藤原希香は妹・藤原美香の策略にはまり、倉木市の富豪である日置正一と関係を持つことになってしまった。時が流れ――運命のいたずらか、再び倉木市へ戻った藤原希香は、まさかの偶然の事故により、見知らぬ男性と一夜を共にすることになる。そして、その男性が、あの日のあの人、日置正一だとは…。
「私に近づく理由は何だ?」と、警戒心をむき出しにする日置正一と、記憶を封じ込めたままの藤原希香。二人は、まるで火花を散らすように激しく衝突し続ける。次々と降りかかるトラブルの中で、ふと、懐かしい眼差しが交わされる。
「この痣、もしかして…」「あの日の約束、覚えているのか」――16年間隠され続けた真実が明らかになる瞬間、街を覆う紅葉が一斉に舞い上がる。過去と現在が交差する感動の再会の中で、すべての誤解が甘い涙に変わっていく。
家族という名の牢獄
孤児院から引き取られた林浅は、豪華な生活を夢見た。しかし、実家には寵愛される偽りの令嬢・林婉がいた。彼女は林浅を陥れるため、婚約者の妹を階段から突き落とし、植物人間に。裁判では、実の家族が偽の証拠を作り、林浅は5年の刑に。獄中での屈辱を経て、出所した彼女は家族を捨てる決意をする。だが、今度は家族が彼女を放さなくて……。
優しき鬼刃~医聖玄一郎~
「鬼刃医聖・久瀬玄一郎」
煌国の命運を背負い家族を捨てた伝説の外科医。25年後、「国医」として帰還した玄一郎を待ち受けていたのは、妻の死と娘・遥の冷たい視線だった。
「父さんなんて、ただの逃亡者でしょ?」
父の正体を拒む遥が院長を務める輝生総合病院を、柊一真率いる仁愛病院が強襲。首長移植手術を賭けた死のゲームに巻き込まれた遥が絶体絶命の危機に陥った時、玄一郎は鬼刃のメスを握る――
「お前が信じた鬼刃は――この手にある」
医療技術の極限と父娘の絆を描く、衝撃の医療サスペンス!
先代会長は黙って掃除中~社内権力ゲーム~
かつて財界を席巻した伝説の経営者・高橋健一郎は、忽然と姿を消し、今は息子・悠人が勤める会社で「ただの清掃員」として潜伏していた。年次大会で悠人の良縁を探す彼だが、その姿は息子に恥をかかせ、ライバルの田中翔太に「清掃部門の元上司」と誤解される。しかし、松本琴子の一声「先代会長!」で会場は騒然。その後、翔太は悠人を昇進・プロジェクト・恋でことごとく陥れようとするが、謎の「清掃オジサン」が巧妙に阻む。やがて健一郎は、翔太の父親・田中天が妻の死に関与し、今は海外勢力と組んで会社を乗っ取ろうとしていることを知る――果たして「清掃オジサン」は危機を救えるか? そして、彼が再び「会長」として表舞台に立つ日は来るのか?
青山喜江、二度目の執刀
首都病院出身の名医・青山喜江は卓越した医療技術で数多くの患者を救ってきた。
ある日、夫・青山真樹から電話が入り、「自分に代わって手術を行う」よう命じられる。
夫への愛情から喜江はこの要求を承諾するが、この信頼から生まれた約束が、まさか彼女を深淵へと突き落とすことになる――成功したはずの手術を受けた患者・倉川藤子が原因不明の死を遂げ、藤子の息子の嫁・倉川美海は全ての罪を喜江に押し付ける。更に息子・倉川辰雄は、激怒の末、喜江を殺害してしまう。
喜江が最期に目にした光景は、夫の真樹が美海を抱きしめながら自分を嘲笑う姿だった…。
再び目を覚ました喜江は、手術前の日に戻っていた。今度こそ騙されず、自らの知恵で悪と戦い、真実を世に曝す!
黒令嬢は空を愛でる
七沢空は数年間、幼なじみの高次心咲に「貧しい男」を演じ続けた。超名門の坊ちゃんでありながら、ただ彼女の笑顔だけを求めた。しかし誕生日の夜、バーで学生会长と踊る心咲を目撃した瞬間、全てが崩れる。空は心を閉ざし、愛を断ち切る決意を固めた。
その夜、偶然救ったのは自殺を図っていた謎の少女・望月茉見。彼女は母を亡くし狂気を宿した極道組織の令嬢だった。茉見は、空の隠した「本物の強さ」に魅了され、執拗に彼に迫る。「あなたは、私のものよ」と囁きながら、彼の世界を鮮やかに侵食していく。
一方、空の優しさをやっと知った心咲は急変し、彼を逆追い始める。だがそれは茉見の逆鱗に触れた。「触れたら終わりよ」。
極道の血が沸騰する――傷つけた者には鉄槌を下す令嬢と、覚醒した元・純情男子の危険な恋が、欲望の炎を巻き起こす。偽装から解放された空は、もはや過去の幻に振り向かず、茉見との狂気じみた甘い絆に溺れていく。
社長の妻は蜜より甘い
古川璃音は、うっかり桜谷グループの若き社長・桜谷司を抱かれた。10か月後、母親が急死した彼女は女の子を出産し、赤ん坊を桜谷家の玄関先に置き去りにした。その後、恩師の紹介で桜谷グループに就職するが――
「子供の母親を探し出せ。この街を掘り返してもだ!」
帝王と呼ばれる桜谷司は、突然現れた娘を溺愛しながら、消えた女を執拗に追い詰める。しかも、なぜか彼は古川璃音に「結婚式のドレスを着て」と迫ってきて…!?
「あの夜の代償は、一生僕に縛られてもらう」
不死明王呪
数年前、武林三大勢力「孤雲宗」「龍吟山荘」「薬王谷」が秘宝《不死明王呪》を奪取せんと長生教を血で染めた。教団崩壊の夜、教主次男・冷凌雲は龍吟山荘主裴春秋に崖下へ投げ落とされるが、奇跡的に前教主・長生老祖に救われる。彼から禁断の奥義《明王呪》を伝授された凌雲は、やがて教団再興の使命を胸に故地へ戻る。しかしその帰還は、武林に新たな暗雲を呼び覚ますことになる――。宿敵との因縁の対決、秘術を巡る権謀術数、そして隠された真実が交錯する中、復讐の炎は新たな戦いの渦を巻き起こす!
港崎の夜曲~愛と野望の街で~
一夜の過ちで結ばれた山口美羽と大門拓弥。時は流れ――5年後、運命は二人を再び引き合わせる。大門グループの社長室アシスタントとなった美羽だったが、名門鈴木家の令嬢、鈴木沙良から執拗ないじめを受ける。しかし逆に、拓弥の個人アシスタントとして側に置かれることに。
喘息を患う娘山口心愛(ここ)の治療で幾度も拓弥に助けられていく中、二人の絆は深まっていく。
そして衝撃の真実が明らかに――鈴木沙良は養女…真の鈴木家令嬢は…!
命の非常口は赤信号
西村家は三雲市トップの財閥家である。その御曹司・西村昴は家の財力を頼みに、いつも悪友たちと好き勝手に振る舞い、地元の人々に多くの迷惑をかけていた。ある日、彼の母・西村すみれが公園で散歩している中、突然の喘息発作で倒れて、薬がなくて苦しんでいた。幸い、通りかかりの安田健次と安田真理夫婦に見つかれ、病院へ連れて行こうと思った。看護師である安田真理は、どうしても患者の命を助けたくて、いち早くも車を出したいとしたが、まさか彼らの車の前が塞がれている。駐車場から出れなくて何とかしようとした二人は、車のトラブルを理由にした西村昴に足を止めされた。人の命を救うためなら我慢できると思って、安田夫婦は西村からとんでもない侮辱を受けてしまった。