高級車から降りてきた凛が、オフィスで待ち構える同僚たちと対峙するシーンが熱い。課長の早乙女薫の嫌味な態度や、田中和也の冷ややかな視線がリアル。自分のデスクが荒らされ、禁止事項のメモまで貼られているのを見て、凛の目が本気で怒りに変わる瞬間が見どころ。
エレベーターのポスターに書かれた「精神失常で永久禁賽」という文字が全ての物語を語っている。許凌霜という名前と、かつての栄光と挫折。それが今の凛の行動原理になっているのかと思うと、単なるいじめられっ子ではない深みを感じる。氷のグローブに咲いた狂気の薔薇の世界観がここで確立される。
結城剛と黒川慎一郎の登場で、凛がただの一般人ではないことがわかる。高級スーツに身を包んだ父と執事の佇まいが、凛のバックグラウンドの強さを暗示している。でも、娘を心配する父の表情が切なくて、家族愛を感じさせる良いシーンだった。
高橋美咲が凛のバッグをひっくり返して中身を散らかすシーン、見ていて腹が立った。でも、凛がそれを黙って見つめる目が、次の行動を予感させてゾクゾクする。氷のグローブに咲いた狂気の薔薇という作品は、こういう日常の中の小さな悪意が大きな爆発につながる緊張感がすごい。
エレベーター内で男たちに絡まれた凛が、一瞬で表情を変えて全員を倒すアクションが圧巻。特に、血のついた拳を握りしめるカットが印象的。普段の大人しい姿とのギャップが激しすぎて、画面から目が離せない。これが氷のグローブに咲いた狂気の薔薇の真骨頂だと思う。